ユースケース
Ayumi の役割は意図的に狭く取ってあります — 思考を捕まえて、Markdown としてディスクに書く。おもしろいのは、そのフォルダの 向こう側 に何を作るかです。
このページは実際に運用されているパターンをまとめたものです。どれも構造は同じです。
捕捉(Ayumi) → Markdown のフォルダ → エージェントやスクリプトが定期的に読む → 自分が実際に見る場所に出力する。
ここに書かれているものは Ayumi の組み込み機能ではありません。Ayumi が引き受けるのは最初のステップを速くすることと、その先のパイプラインが API なしで読める形式でファイルを残すことだけです。
以下のすべては、Ayumi のエントリーの書き方に関する 2 つの事実に依存しています。詳細は Markdown フォーマット を参照してください。
エントリーはジャーナルフォルダ以下に日付でネストされます。
journal/ 2026/09/13/ 2026-09-13_08-12-44-201.md 2026-09-13_08-12-44-201.assets/ 2026-09-13_21-40-03-118.mdそして各ファイルはフラットな YAML フロントマターで始まります。
---id: "550e8400-e29b-41d4-a716-446655440000"created_at: "2026-09-13T17:12:44+09:00"updated_at: "2026-09-13T17:12:44+09:00"tags: - dailytranscription_model: "gemini-2.5-flash"transcription_prompt: "Reflection"---連携の口はこれだけです。ディレクトリを辿って YAML をパースできるエージェント・スクリプト・エディタなら、何でもあなたのジャーナルを読めます。
ほとんどのパイプラインの出発点になる「直近 24 時間ぶん」の最小の選択方法です。
find "$JOURNAL" -name '*.md' -newermt '24 hours ago' | sort1. 毎日の振り返りのためのボイスジャーナル
Section titled “1. 毎日の振り返りのためのボイスジャーナル”いちばんシンプルなループで、最初に作る価値があるのもこれです。
日中 の捕捉はハンズフリーにします。録音を開始 をアクションボタンや背面タップに割り当てておき(iOS ショートカット)、歩きながら、あるいは会議の合間に、頭にあることをそのまま話します。停止は Dynamic Island から。文字起こしが終わると、それぞれの録音がエントリーになります。
夜 に、その日を読み返します。エントリーはすでにディスク上にあるので、「読み返す」はアプリを開くだけでも成立しますし、その日をまるごと AI に渡すこともできます。
今日のジャーナルのエントリーを全部読んで、次を出して。1. 実際に今日考えていたこと(予定していたことではなく)。2. 二回以上言っていること — 繰り返す心配事はシグナル。3. 明日答えを出すべき問いを 3 つ。結果は reviews/2026-09-13-daily.md に書いて。エントリーは変更しないで。うまく回すためのポイント
Section titled “うまく回すためのポイント”| 選択 | 理由 |
|---|---|
| 自分の言葉を残す文字起こしプリセット | 振り返りに必要なのは、きれいな要約ではなく 実際に言ったこと。手を入れすぎないプリセットか、逐語で残る Apple のオンデバイス文字起こしを使う。 |
daily タグ | 後続のジョブすべてに安価なフィルタを与えられる。 |
| レビューは別フォルダに書く | エントリーは追記のみの記録のまま保ち、そこから派生したテキストは別の場所に置く。 |
2. 定期実行のエージェントレビューを Slack に届ける
Section titled “2. 定期実行のエージェントレビューを Slack に届ける”手動での日次レビューが回り始めたら、それを定期実行にします。そのとき、素材の種類ごとに別々の担当へ振り分けるのがポイントです。
1 日 1 回(あるいは週 1 回)走るジョブが、直近のエントリーを集めて振り分けます。
1. 直近 24 時間のエントリーを集める。2. それぞれを分類する: キャリア / 調べ物 / プロダクト / プライベート / ノイズ。3. 空でないバケツごとに、そのバケツ用に書いたプロンプトで サブエージェントにエントリーを渡す。4. サブエージェントの出力を集約する。5. reviews/2026-09-13.md に書き出し、短い版を Slack に投稿する。ここでサブエージェントに分ける意味は、プロンプトが本当に違うからです。キャリアコーチングのパスと調べ物の振り返りのパスは、同じ仕事ではありません。
| バケツ | サブエージェントのプロンプト(おおよそ) |
|---|---|
| キャリアコーチング | 「あなたはこの人のジャーナルを半年ぶん読んだキャリアコーチです。この人が避けていることのパターンは何ですか。今週どこを突きますか。具体的に、耳が痛いところまで。」 |
| 調べ物の振り返り | 「これは私が調べながら考えていた記録です。何が分かったか、何がまだ未解決か、次に何を読むべきかをまとめてください。」 |
| プロダクトアイデア | 「具体的なプロダクト/機能のアイデアをすべて抽出して。1 行ずつ、出典のエントリーを添えて。」 |
| プライベート | 「自分用にだけ要約して。外部に投稿されるものには絶対に含めないこと。」 |
スケジューラの繋ぎ込み
Section titled “スケジューラの繋ぎ込み”スケジューラは好きなものでかまいません。コマンドを定時実行できれば十分です。
- Mac の
launchd/cron— ジャーナルフォルダに対してエージェント CLI を走らせる。 - クラウド側のスケジュール実行エージェント — 同期されたフォルダのコピーを参照させる。
ショートカットのオートメーション — スマホ側で完結する軽いジョブ向け。
Slack への投稿は Webhook か MCP の Slack ツールを使います。エージェントの手元にはすでにテキストとして要約があるので、配送自体は簡単な部分です。通知をどこに出すにせよ、Markdown のコピーはディスクに残しておいてください。Slack は通知チャンネルであってアーカイブではありません。
何を端末の外に出すかを決める
Section titled “何を端末の外に出すかを決める”Slack に投稿する定期ジョブは、ローカルファーストなジャーナルがローカルでなくなる地点です。ここは意識的に設計してください。
- 絶対に転送したくないエントリーはバケツに分け(上の「プライベート」)、サブエージェントの境界で止める。
- 生のエントリーではなく、蒸留した要約を投稿する。
- 収集ステップが最初に除外する
#privateタグを用意しておくのも手。
3. LLM wiki スタイルのナレッジベースに流し込む
Section titled “3. LLM wiki スタイルのナレッジベースに流し込む”ジャーナルはストリームで、wiki は構造です。片方をもう片方に変換するジョブを走らせれば、捕捉の時点で整理について考えないまま、両方を手に入れられます。
| レイヤー | 役割 | 可変性 |
|---|---|---|
| Ayumi のエントリー | いつ何を考えたかの記録 | 追記のみ |
| wiki のページ | 概念・人物・プロジェクト・意思決定ごとに 1 ページ | エージェントが自由に書き換える |
wiki は独自のフォルダに置きます。Ayumi のエントリーはもともと Obsidian 互換なので、同じ Obsidian vault の中に置くことも多いでしょう。そして wiki の各ページは、蒸留元になったエントリーへリンクを張り返します。
新しいエントリーを読んで wiki を更新する、週次のジョブです。
<前回実行時> 以降の各エントリーについて: - 触れている概念・プロジェクト・人物を特定する。 - それぞれについて wiki/<概念>.md を更新する: * 新しい考えを既存のページにマージする。 * ページの記述と矛盾する場合は、両方を残して 変化した日付を添える — 黙って上書きしない。 * 出典としてエントリーへのリンクを追記する。 - まだ存在しないページは作成し、[[wiki リンク]] で繋ぐ。最後に、触ったページを一覧にする(差分をレビューできるように)。Ayumi と相性がいい理由
Section titled “Ayumi と相性がいい理由”- バックリンクがタダで手に入る。 wiki 側の
[[Wiki Link]]記法とエントリーへの相対リンクがあれば、Obsidian のグラフビューが両レイヤーをまたいで機能します。 - フロントマターがそのまま構造になる。
tags、created_at、location_place_nameが、蒸留側にとって実際に使えるメタデータになります。 - wiki は使い捨てられる。 真実の源がエントリー側にあるので、wiki を丸ごと消して、もっと良いプロンプトで作り直せます。2 つのレイヤーを分ける最大の理由がこれです。
4. 話したアイデアからプルリクエストまで
Section titled “4. 話したアイデアからプルリクエストまで”素早い捕捉がいちばん直接的に効くのがこれです — キーボードから離れているときのアイデアが、コードになります。
歩いていて、ふと声に出す。「エクスポートのシート、最後に選んだフォルダを覚えていてほしいな。毎回リセットされるのが地味に面倒」。この一文はもうエントリーになっています。あとは夜間ジョブがプルリクエストに変えてくれます。
パイプライン
Section titled “パイプライン”毎晩: 1. 直近 24 時間のエントリーを読む。 2. 自分のリポジトリへの具体的な変更になるものを抽出する。 曖昧な願望は無視する — 具体的な挙動の変化を要求すること。 3. それぞれについて: a. リポジトリを特定する。特定が曖昧ならスキップ。 b. リポジトリを開き、該当コードを読み、変更が本当に 小さく自己完結しているかを確認する。 c. 該当すれば: ブランチで実装し、ドラフトのプルリクエストを作る。 PR の説明に元のジャーナルのエントリーを引用する。 d. 該当しなければ: 何が大きいのかを添えて backlog.md に書く。 4. 作成した PR と見送った項目を Slack に投稿する。放っておいても安全にするためのガードレール
Section titled “放っておいても安全にするためのガードレール”ここが、役に立つパイプラインと 1 週間で止めるパイプラインの分かれ目です。
| ガードレール | 理由 |
|---|---|
| ドラフト PR のみ、マージはさせない | レビューは必ず自分でする。エージェントの仕事は白紙からのコストを消すことで、出荷することではない。 |
| 明示的なリポジトリ許可リスト | 名前を挙げたリポジトリだけを触らせる。曖昧なマッチは推測させず、保留にする。 |
| サイズの上限 | 「N ファイルを超える、あるいは設計判断が必要なら、実装せず backlog に書く」。小さく検証可能な変更だけがうまくいく。 |
| PR を作る前にテストを通す | 検証されていない PR は、元のアイデアの価値よりレビューコストの方が高くつく。 |
| PR 本文に出典のエントリーを引用する | 3 日後には、なぜこの PR があるのか、自分が本当は何を言いたかったのかを知りたくなる。 |
捕捉の時点で意図を示す
Section titled “捕捉の時点で意図を示す”抽出側に分かりやすいシグナルを与えましょう。専用の文字起こしプロファイルをもう 1 つ作ってもいいですし、そういう録音は「Ayumi のアイデア:」から話し始める、という習慣だけでも分類は十分安定します。#dev タグでもよく、こちらはタップ 1 回で済みます。
自分なりの形を作る
Section titled “自分なりの形を作る”ここまでのパターンは、どれも同じ 4 つの決定のバリエーションです。
- 何が捕捉のトリガーになるか。 ハードウェアボタン、ショートカット、Apple Watch、ウィジェット — 思いついてから録り始めるまでの間を消せるものなら何でも。
- テキストをどんな形にするか。 振り返りなら逐語、抽出なら構造化。これが文字起こしプロンプトプリセットの使いどころです。
- 何をどのくらいの頻度で定期実行するか。 振り返りは日次、蒸留は週次、自動化は夜間。
- 出力はどこに着地するか。 必ず見るものは Slack へ、後から検索するものは Markdown へ、仕事になるものはプルリクエストへ。
どのパターンでも、Ayumi の担当範囲は同じです — 思いついた数秒後には、その思考がプレーンな Markdown としてディスクにあること。
- コンセプト — なぜ「捕捉の速度」が最適化すべき制約なのか
- iOS ショートカット — ハードウェアトリガーとバックグラウンド録音
- 音声録音 — 文字起こしエンジンとプロンプトプリセット
- Markdown フォーマット — スクリプトがパースするファイル構成とフロントマター
- iCloud で同期 — ジョブを走らせるマシンにフォルダを持ってくる